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  • Dec 04, 2019

「秘密結社 鷹の爪」シリーズ監督・FROGMANスペシャルインタビュー!「『鷹の爪』は物語を描こうと意識しているんです」

大人が楽しめるアニメシリーズを平日午後9時から午後11時まで放送中のアニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」。2019年12月からは放送枠を拡大し、午後11時より「秘密結社 鷹の爪」テレビアニメシリーズ3作品が放送されます。この放送を記念して、「秘密結社 鷹の爪」シリーズの監督であり全キャラクターの声優も務めるFROGMANのインタビューをお届けします。ご自身が好きなキャラクターやあの人気エピソードの誕生秘話など、「秘密結社 鷹の爪」シリーズの魅力を存分に語っていただきました。




――この作品はやっぱり大人向きですよね。
 元々は、2006年4月にテレビ朝日の深夜2時40分という深い時間でスタートした番組だったので、子供向けというつもりでは作っていませんでしたね。一時期ずっとNHK(Eテレ)の夕方の番組で放送されていたので、子供向けみたいな感じになりましたけど。夜に放送されるのは、本当に久しぶりっていうか、戻ってきたっていう感じですね。


――やっぱり夜だと、夜でできることはあるという感じでしょうか。
そうですね。子供向けに放送されていた時代は、「これ、子供はちょっとわからないよね」「これ、子供には難しいよね」だったり、「こういう表現、子供は理解し得ないんじゃないか」ということで、結構差し戻されたりしていたんですが、夜帯ですと、結構ブラックな笑いや、ちょっと下ネタだったりは結構OKなので、それはやりやすいですよね。


――そもそも『鷹の爪』はどのようにして生まれたんですか。
 元々僕は実写の人間だったんです。映画監督になりたくて、実写の現場で十数年製作をやっていました。

 30歳の時に、島根県に映画のロケに行って、それがきっかけで島根県に住み着くことになるんですが、そこで「島根から何かできる映像ができないか」ということでアニメを始めることになりました。

 作り始めて、面白がってくれたのが、当時DLEの社長で。僕が作っていたそのアニメーションをネットで見てくれたそうで、「一緒になんか作らないか?」と誘ってくれました。

 その時、島根に住んでいたので、テレビ電話で会議をしていたんですが、提案されたのが、世界に打って出る作品にしたいから、世界中の人がわかる価値観=“正義と悪の戦い”、いわゆる勧善懲悪ものを作りたい、と。最初提案されたのが、ニューヨークの寿司屋の職人が、昼間は寿司職人で、夜になると正義の味方になって、刺身包丁で敵をやっつけるみたいな、そういう話を作ろう、となったんですけど、どうにもこうにも面白いと思えなくて・・・(笑)。困った挙句何か月後かに作ったのが鷹の爪の雛形。一応パイロットを作って見せたんですよ。そうしたら「あ、これ面白いですね!ちょっと、何本か作ってください」って言われたので、3本くらい作りました。担当プロデューサーが、「すごく面白いから海外に持っていこう。ただその前に日本で人気の作品が、海外で出ていく、そういう枕詞が欲しい」いうことで、日本で放送できるテレビ局へ持っていきました。そうこうしているうちに、テレビ朝日で放送ということになって。僕が提案してから放送されるまで半年もなかったんですよね。すごい速さで決まっちゃいました。
 


「秘密結社 鷹の爪」より 「秘密結社 鷹の爪」 ©DLE

 最終的に決まったのは1月に入ってすぐだったんですが、放送まで3ヶ月切っている中で、テレビシリーズだったんで、えらい大変なことになったと。それまで本当に自分一人でやっていたので、毎週30分の番組を11回作るって、今だったら全然できますけれど、当時はそういう製作体制もなかったですし、アシスタントもいなかったですから、どうしたものか・・と思いましたら、アシスタントを用意しますって、人を集めてくれたんですよね。で、僕も島根で作って渡すっていう体制ではダメだから、「もう東京行きます」って言って、東京に帰ってきました。

 当時集まった人たちは、Flash(フラッシュ)を初めて触る人たちばかりで、だから最初はほとんど自分一人で作りました (笑)。後半はようやくみんな慣れてきましたが。


—–鷹の爪シリーズの中で、特に好きなエピソードを教えてください。
 無数に作っているので・・・(笑)でも、EX(エクストリーム)の話の中で、杉田智和君に、山口三太という泥棒の役をやってもらいました。このエピソードは、人情ものなんですけど、本もよく書けてますし、杉田君の芝居が、結構いいんですよね。このエピソードは大好きですね。

 あとはポイポンシリーズですね。ポイポンというあの・・・毎年、iPhoneがリリースされるタイミングで、鷹の爪団がポイポンというスマートフォンをデラックスファイターに買っていくのですが、それを必ず粉砕するという(笑)。毎回お約束でずっと同じことをやっています。今はテレビでは放送していませんが、この時期にうちのYouTubeにアップされると、「あ、もうそんな季節か」と。もう風物詩のようですね(笑)。今年ももちろん作りましたし、ポイポンシリーズは作っていて面白いですね。


—–結構ブラックですよね。
 これもまた裏話をすると、ポイポンシリーズが生まれるきっかけになったのが、manzoという鷹の爪の音楽監督がいるんですけど、彼がiPhoneを落としたときの写真を見せてもらたのですが、そこには粉々になったiPhoneがあって…。大爆笑しちゃったんですよ、僕(笑)。iPhoneって車に轢かれるとこんなに粉々になるの?っていうくらい。ボール紙が雨に濡れて車が轢くとぐちゃぐちゃになるじゃないですか。あんな感じになっちゃったんですよ、iPhoneが。それを見た時になんかおかしくてしょうがなくて、鷹の爪のポイポンシリーズを作ったんですけど。まさかそんな人気シリーズっていうか。お約束になるとは思いにもよらず・・・そうですね。この間ツイッターで、manzoが当時のiPhoneの写真を上げてくれましたけど、気をつけないとですよ(笑)。
 


「秘密結社 鷹の爪」より 「秘密結社 鷹の爪」 ©DLE


—–鷹の爪シリーズで、お気に入りのキャラクターは?
 どんな作家さんもそうだと思いますけど、全部自分の分身なんですよね・・・難しいですが、最近は年齢がだんだん近くなってきたのもあるので総統かなと。総統の悲哀みたいなものがなんとなく、自分でもわかるようになってきたのもありますし、鷹の爪の行動理念というのが、総統の信念から生まれてきたものなので。主人公は一応吉田くんとは思っていますが、自分もそういう年になってきたからか、総統に共感することだったりとか、自分が言いたいことを総統に言わせるみたいなことが最近あったりして、だんだん自分が総統に近くなっている気がしますね。


—–鷹の爪のキャラクターの声を全部お一人で声をあてることになったきっかけは?
 ご存じのように、島根県は声優がいない県なんですよ(笑)。そうなるとどうするかっていうと・・・自分でやるしかないですよね。もちろん素人に声を掛ければいいですけど、島根の人はみんなコテコテの出雲弁をしゃべるんです。周りの人たちに試しにやっていただきましたけど、やっぱりなまる。だからもう自分でやるしかないということで。自分でやることなんて最初から考えていた訳ではなかったんですけど、標準語をしゃべるのが自分しかいなかったので仕方ない。

 東京に来て、実際に作業をしてわかったことは、一人でやることの何がいいかっていうと、ここを直そうと思った瞬間に、声入れてすぐ直せるという、このスピード感というのは、今までのアニメの中でなかったことなので、十分価値にはなったんですよね。

 

—–監督であると同時に、キャラクターの声優もされていますが、気を遣っていることはありますか?
 いや、ないですね(笑)。僕が声優という職業を名乗ってないのは、本職じゃないから。アニメ監督って言われるのも、ちょっとどうなのかなって思ったり・・・本職のつもりはないので。声優でもなければ脚本家でもないし、アニメ監督もなければ、もちろんアニメーターでもない。最近自分のことはデジタル芸人って言おうかなと思っています(笑)。
 


「秘密結社 鷹の爪 EX」より ©秘密結社 鷹の爪 EX製作委員会


—–リアルタイムのニュースをブラックジョークで切り裂いていったり、YouTubeのチャンネル登録数も多いようで、若い世代もうまく取り込んでいるように思います。
 「鷹の爪」が他の作品と違うのは、「鷹の爪」は物語を描こうという風に意識しているんです。最近割とコントが多いですよね、ワンシチュエーションで。それ自体否定はしませんが、あくまで僕は映画出身だったから、ちゃんとドラマを描きたいというのが根底にあるので、若干重いんです。でも、その重さとか、ストーリーの流れが印象に残ってくれて、13年やってこられたように僕は思います。劇場版にもなれるし、2~3分でも作ることができる。それは僕だけじゃなく、僕の会社でもすごく大事にしていこうよといっています。コントって瞬間最大風速を吹かすこともできますし、3~4年持つかもしれないですけど、何十年も愛されるものを作ろうと思うと、やっぱり物語じゃないと難しいんじゃないかなって。今歴史を振り返ってみても、もしかすると100年前にどこかの国でコントをやった人たちがいるかもしれないですけど、やっぱ100年後に残っているのって映画ですよ。物語はずっと残るものなんじゃないかなって思うんです。物語というのは時代を超えると思っているので。400年も500年もたった今でもロミオとジュリエットを本当に愛おしく思えるというのは物語だからこそだと思いますし、そこでキャラクターを愛すためには、そういう舞台を用意することが大事なんじゃないかなって。

 

—–各話の発想はどうやって出てくるんですか。
 よくやる発想の仕方としては、ホワイトボードを目の前にして、プロデューサーの何人かが一緒になって考えてくれる。ほかのディレクターたちも一緒に、シリーズ15話があったら、1話目は温泉、2話目は買い物とか、工場とか。キーワードを出していって、じゃあ温泉だったら鷹の爪団はどうなるの?っていうことから発想していく。鷹の爪団が温泉行くよね、行ったとしたら、そこは言う程温泉じゃなかった!じゃあオチはこうなるよね、って勢いで作っていくやり方。

 でも、鷹の爪団は割とキャラクターが自分の中で定まってるので、例えば”紙コップ”というお題があれば、勝手に紙コップで鷹の爪団が何かやってくれちゃう感じですよね。


「秘密結社 鷹の爪 DO」より ©秘密結社 鷹の爪 DO 製作委員会

 

—–勝手に動いてくれるということですね。
 僕も一時期漫画家になりたいと思った時代もあって、漫画家の先生が「勝手に出演者たちがやってくれる」ということを言っていた時に、「え?何言ってんだろう??」と思ったんですけど、確かにその通りだなと。クリスマスとかハロウィンとか、そういう舞台を与えるだけで、勝手に面白いことをやってくれる。作者はそれを横で見ながらただそれを記録しているだけという風におっしゃいますけど、確かにそういう感覚はあります。


「秘密結社 鷹の爪 EX」より Ⓒ 秘密結社 鷹の爪 EX製作委員会

—–島根の話が出てきましたが、やはり島根愛というのが一つの要素ですね。
 そうですね。島根愛。鷹の爪を作ったというか、アニメをやろうと思ったきっかけというのも、僕は元々島根でやろうと思ったのが、地方からエンタテインメントを発信すること。まだ誰もやってなかった時代だったので。当時インターネットはもちろんありましたけど、地方に起きたことを東京や大阪の報道がキャッチして全国に配信するという、大都市のフィルターを通してじゃないと全国に広まらなかったんです。地方からの発信は今じゃ当たり前のことなんですけど、あの当時は考えられなかったことなんですよね。でも、絶対に地方の時代が来るって思ったんですよ。

 島根に移住してみたらすごく島根が面白くて魅力的だったんですよ。あまりにも島根のこと知らなさすぎたというか。実は「島根に出雲大社がある」ということを、行って初めて知ったんですよね。出雲大社という存在は知っていましたが、出雲大社がある県なんだというくらい、島根のことを知らなかったんですよ。なのでこれはちゃんと発信しないといけないし、うちの奥さんも島根出身ということもありますし、島根も自分の第二の故郷だと決めていたので、東京とおさらばして島根で骨をうずめる覚悟も決めていました。それで島根をもっとみんなに知ってもらいたいということで、その島根でアニメを作るということをあえてやりました。

 

—–吉田くんはかなり貢献しているということですね。

 そうですね。貢献してるのか、足引っ張ってるのかは、わからないですけど(笑)。

 

—–本当にいろいろやってこられましたね。企業とのコラボとか、

 13年やっていて、よく言えば安定期、悪く言うとマンネリという風に、定番になってきてるんですよね。面白いのが皆さん十分わかっていて、鷹の爪の認知も広まっているけれど、じゃあ鷹の爪のために熱狂するか?といったら熱狂する人はいないんですよ。やっぱ熱狂をもう一度呼び起こしたいという、そういう思いがあるんですね。

 

—–12月から「ケロロ軍曹」もカートゥーン ネットワークの夜のアニメ放送に加わります。2時間半、会社から帰ってから楽しみ頂ける夜のアニメ放送で、懐かしい作品から鷹の爪まで楽しめるそうですが。

 「トムとジェリー」とかは子供の頃、夕方の時間帯にやっていてむさぼるように見ていました。懐かしいなあ、見てみたいなあと思いますし、「ケロロ軍曹」も20年・・ケロロさんとは実は結構いろいろコラボさせてもらっています。うちのせがれも小さい頃は見ていましたけど、今はもう15歳になった。ケロロみたいに割と新しいかと思ったら、もう20年もやっているとなると・・・大人が感傷してもいいものなんだなと、そういう積み重ねが大事だと思います。

 僕らが若い頃は、アニメって子供が観るものだと思っていましたが、今ではもうそういう時代じゃないですしね。僕も実はあまりアニメを観ないほうで、というか、全く観ないんですよ(笑)。最近はそれはいかんと思って観るようになったんですよね。観てみると、子供が観るものだとハナから決めつけて、毎回同じパターンだろうと思っていたら、最近の作品は意外と脚本がしっかりしていて、ちゃんとドラマを描いているなと思いました。これなら大人も観られるんだなと思ったりしているので、カートゥーン ネットワークさんにそういう脚本のしっかりしたアニメをまた放送してもらえたらいいなあと思います。


★カートゥーン ネットワーク「秘密結社 鷹の爪」シリーズ放送情報★
「秘密結社 鷹の爪」 絶賛放送中!
月~金 22:30~23:00 他
※2話連続放送

「秘密結社 鷹の爪 EX(エクストリーム)」
2019年12月5日(木)~18日(水) 月~金 23:00~23:30 他 
※2話連続放送


Ⓒ 秘密結社 鷹の爪 EX製作委員会


「秘密結社 鷹の爪 DO」
2019年12月19日(木)~27日(金)  月~金 23:00~23:30 他 
※2話連続放送


©秘密結社 鷹の爪 DO 製作委員会


「秘密結社 鷹の爪」
2020年1月7日(火)~14日(火) 月~金 23:00~23:30 他 
※2話連続放送


「秘密結社 鷹の爪」 ©DLE


「鷹の爪7~女王陛下のジョブーブ~」
2020年1月14日(火)23:15~


鷹の爪7~女王陛下のジョブーブ~」©ET7

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