登場するキャラクターの可愛らしさと独特の世界観でファンを魅了しているカートゥーン ネットワークのオリジナルアニメ『アドベンチャー・タイム』。キャラクターにフォーカスしたイベントはいつも大盛況で、10月27日(土)に行われた主要キャスト登場のスペシャルトークイベントも参加券が即終了してしまうほどの人気を博しています。
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⇒ レモングラブ伯爵に一同驚愕! 「アドベンチャー・タイム」トークイベントレポート!
今回は、このスペシャルイベントにも登場し、2012年5月の放送スタートから主人公フィンの声を担当している朴璐美さんにお話を伺いました。アフレコ現場の様子や作品の魅力、ご自身のことについてじっくり語っていただきました。朴さんのフィンへの、『アドベンチャー・タイム』への愛情が存分に伝わってくるインタビューをお楽しみください!
――改めて、『アドベンチャー・タイム』という作品の魅力はどこにあると思いますか?
まず、キャラクターが死ぬほどかわいい!あと単純に表すなら『アドベンチャー・タイム』を見ていると、脳みそに”さぶいぼ”がたつんです。そういう感覚になれるアニメーションってあまりなくて。アドベンチャー・タイム好きは私と同様、脳みそに”さぶいぼ”がたってるに違いないと思うんです・・そうですよね?皆さんも(笑)。一般的な言い方をするのがちょっと難しい・・・なんか”弄られる”んですよね。
イベントの「言ってほしいセリフ」コーナーでも改めて驚いたんですけど「パイを焼いて。ババア!」って・・。レモングラブ、すごいセリフ言ってるわ。最高だな、って思って (笑)。ひとつひとつのキャラクターが単純に面白いだけじゃなくてシュールで全部つながっているんですよね。哲学があるというか。そこにやられちゃうんです。ふざけてるのに説得力がある。
物語も「なんでこれで終わるの?!」っていう・・・視聴者に対して投げかけて終わる。説教するわけでもなく押し付けるわけでもなく、ふざけているわけでもない、自分たちで考えなさいっていう放り投げ感がたまらなく好きですね。ドSだと思います(笑)。「んーーーー、もうっ!!」っていうその繰り返しで。とにかくこんなアニメはいまだかつてないと思います。好きです。本当好きです(笑)。
レモングラブも毎回出てきたら本当にイラっとして嫌いになりそうですけど、ちょうどいい出方をする。15分とは思えないくらい、見ていて疲れますよね(笑)。やばいです。
――イベントでのキャストの皆さんを見ているとアフレコの現場そのままな感じがしました。アフレコ現場であった面白いエピソードがあれば教えてください。
常に面白いんですよね、本当に。これだけ長く続けられる作品ってあまりないじゃないですか。長く続けていくと、どこか”なあなあ”になったりしそうですけど、そういうこともなく、作品一話一話ごとにパンチが効いているので、今シーズンはこうなるの??って面白さが増していく。本当に現場が飽きることなく、常に『アドベンチャー・タイム』の話をしていられる。ついていけなくなると哲ちゃん(太田哲治さん・ランピー役)が完全網羅しているので、「わからなかったら哲ちゃんに聞け」っていう暗黙のルールがあって(笑)。
みんなが『アドベンチャー・タイム』を愛してるっていうことを、当たり前のごとく持ち続けてきた6年間だった気がしますね。貴重な面白い楽しい現場です。大概「アフレコ現場どうですか?」っていう質問になると「仲良いですよ」で収まっちゃうこともあるけどこの作品についてはそれだけではとどまらない。本当に今日のイベントのままなんです。志郎さん(斎藤志郎さん・ジェイク役)も哲ちゃんも私も、岩崎さん(岩崎ひろしさん・レモングラブ伯爵役)がやりすぎると「岩崎さんうるせえなあ!」って無理せず言う(笑)。本当にいい座組でやらせて頂いているなあって思います。
――アフレコでフィンとして意識されていることはありますか?
とにかく”中立”かな。主人公でヒーローというポジションではあるんですが、周りがとにかくすごいので素直に順応していこうという感じです。フィンが唯一の緩衝材で、一番まともじゃん!って最近は思いつつ(笑)、いくときはいきますけどあんまり考えないようにしています。
特別なことをするわけではなく、現場にいけば志郎さんはジェイクだし、丸ちゃん(丸山壮史さん)はアイスキングだし。何も考えないでその場にさらせばいいかなと。それぞれ個性が強い現場ですけど主張しすぎるわけでもなく、気を使って引くわけでもなくっていう、皆と仲良くちょうどいい感じでやれていると思います。
――ずっとフィンを演じられてきて感じる、フィンの好きなところはどこでしょうか?
せつない子なんですよね。頑張ってる子だと思います。
ジェイクと仲良くしているシーンが逆に切なく感じるくらい、家族や愛に飢えている。フィン自身が愛に飢えているから成り立っている作品なのかなって。演じていてそのせつなさを感じてグッと来てしまう。泣いちゃいそうになるときもありますけど、フィン自身は”泣く”っていう感情に気づいてなかったりするのでより切なくなりますね。
――フィンを演じている中でフィンが変わってきたなと感じるときはありますか?
感じますね。最初は何にでもつっこんでいく男の子だったのが、恋を経験し、失恋を経験し、父親との対立を経験し、「フィン、すごく大人になったな」って感じました。でも根底に流れているものは常に一緒っていう感じはします。
TM & (c) 2018 Cartoon Network.
――印象に残っているエピソードはありますか?
フィン達がツリートランクとクリスタルのリンゴを取りに行く冒険の話(#3-2 ツリートランクの冒険)で最後ツリートランクがクリスタルのリンゴを食べて爆発・・・「え!なんで?!」っていう(笑)。それまでも面白い作品だなとは思ってましたけど、あの話で一気に心をわしづかみにされちゃったので忘れられないですね。ツリートランクどうなったんだろうって思ってたら、何話目か後に普通に出てきて「え?出てきたけど何?説明なし??」って・・・素晴らしいですよね(笑)。その時はあまり追求しないで後の話で回収したりするから。
あと、アイスキングの過去話(#36-1 素敵なクリスマス その1/#36-2 素敵なクリスマス その2)。サイモンて何?しまいには本人が来てビデオ壊したりして。プリズモって一体何者??本当独特すぎてわかんなかった。でも好きです(笑)。
TM & (c) 2018 Cartoon Network.
――登場してきたフィン以外の好きなキャラクターはいますか?
もう沢山いすぎちゃって。リカルディオが最初出てきたときはマジでヤバイ!って思って(爆笑)。アイスキングの心臓?なんだそりゃ?って。訳わからないんですけど大好きです。レモングラブもなんで2匹になるんだ!と(笑)。
一番好きなのは火山の周りをゾウバエが歌いながらまわってて海を飛んで行った先に変な生き物がいるあのシーンが結構強烈で(#124-2 幸せなウィップル)。あのシーン好きすぎちゃって。前頭葉が痛いです(笑)。
TM & (c) 2018 Cartoon Network.
――まだこの作品を知らない方にはどんな風に表現してあげたらいいでしょう?
とにかく「観なよ!」っていうしかないですね。観て「ふーん」って思うならそこまで(笑)。もし少しでもキュンとするものがあるなら「もうちょっと観てみて」と。そうしたらあなたの脳みそを揺らす出来事に出会えるから。それは人生において素晴らしい出会いだよ!っていうことは強く言いたい。
あとは絵がめちゃくちゃカワイイっていうことと、絵の動きがすごくセンスがいい。『アドベンチャー・タイム』の魅力は説明がないところですね。キャラクターの動きにしても一切説明はないけれどそれぞれの特長はとらえている。クリエイターのセンスを感じられます。カワイイだけではなくてものすごい変化もするし。
とにかく”やられちゃえ。宇宙の神秘に触れちゃえ!”っていう感じですね。(「年末はそういうクセのあるエピソードを選んで特集してます」というプロデューサーの声に)それはめちゃくちゃいいですね!カートゥーン ネットワークでしか見られないセレクトです。素晴らしい!私も見たいです(笑)。
――フィン以外に声をあててみたいキャラクターはいますか?
やだー!(笑)最初にフィンをやったときもテンション高いから「毎回喉もつかなぁ」と思ってたんですよ。でも他のキャラもみんなギャンギャンですからね。私はもうフィン以外やりたくないです。フィンがいいです!(笑)
――フィンや『アドベンチャー・タイム』という作品から学んだことってありますか?
・・・なんだろう(笑)。でも学んでますよ、感覚は。
すごく刺激的なんですよ。こう始まったらこう終わるだろうっていう流れを無視してくるので。先程の”説明しない”ところにつながるんですけど。自由なんです。ルールはありますけどクリエイターがやっていることは自由。そのクリエイト精神は学ばせていただいているところが多い。反省もしますね、「通り一辺倒に絶対しちゃダメだな」って。そこで“いかに遊べるか”、“いかに揺らせるか”、がアートでありクリエイティブなんだなっていうのを毎話毎話感じさせられます。だから脳みそが揺れちゃうんだと思う。
単純にリスペクトです。フィンにしてもジェイクにしても全員にクリエイターさんたちのソウルが宿っているから魅力的なんですよ。「フィンはこういうキャラだからこういうことはしない」っていうことがない。ジェイクにしても、この二人は仲良しだからこういうことはしない、っていうのも全然ない。「その概念外しちゃいなよ!」って『アドベンチャー・タイム』に常に言われているような感じがするんです。そのタガの外れ具合が絶妙なバランスで絶妙なタイミングでやってくるから本当に素晴らしいって思えます。
TM & (c) 2018 Cartoon Network.
――最初にフィンを演じたとき、オリジナル版の声優さんの表現を参考にされたりはしましたか?
オリジナル版は男性が吹き替えていて、音の出し方が割とシュールなんです。最初はオリジナルに寄せた方がいいかなって意識してたんですけど、それをやると逆にはまらない気がして。途中からはあまり考えなくなりましたね。どういう話になっていくのかわからなかったので、ただ面白そうだなっていう自分の中の好奇心や興味をミックスさせていこうって思いました。そこからフィンと一緒に驚いて、徐々に一緒に歩いていけるようになった感じでしょうか。
そんなに神経質に考えないほうなので、あまり自分自身で作りこまないです。観たり聞いたりして考えたりはしても現場で色んな人の声を聞いてディレクションしていただいて決めていくっていう感じですね。
――アニメーションのキャラクターの声優と海外ドラマや映画俳優の声優の吹き替えで違うところや難しさはありますか?
日本のアニメの場合は(完成された)画がないんです。ボールド(=セリフを話すタイミングになると表示される目印のこと)が出るので、ト書きを信じてボールドで相手と会話するという感じだったりするんですけど、海外アニメは音も入って全て出来上がった完成形でくるので、完成形を自分の中でもう一度解釈する必要がありますけど、わりと想起しやすいですね。
海外ドラマになると実際に演じている女優さんとの呼吸合わせに時間を費やします。ヒラリー・スワンクは呼吸が合うんですけど合わない方も結構いて、「私はこの呼吸でこのセリフを言うんだけどこの女優さんは言わないんだ」って考えながらやります。でも基本は一緒ですね。やり方は違ってきますけど。
――フィンは元気なキャラクターで声を張るシーンも多いですが、喉をいたわるためにされていることはありますか?
今は特にしていないんです。実はこの収録が始まってちょっとしてから声帯ポリープをやってしまって声が出なくなった時期があって。ちょうどテンションの激しいフィンのシーンが続いたので現場にご迷惑をおかけしながらやらせていただきました。「フィンと一緒にいきたいのにいけない・・」っていうのがしんどかったですね。今は切ったので逆にきれいな音になってしまってどうしよう!って (笑)。
――声優の楽しさってどこにありますか?
声のお仕事って瞬発力なんですよね。舞台の場合は1ヶ月間ゴリゴリに稽古してライブで2時間やってそれを何日か続けたりして同じことを繰り返しますが、声のお仕事の場合は同じことはテスト ― ラステス ― 本番の3回しかないからその中で理解していかなければならない。割と怖いお仕事なんですけど、だからこそ飛んでみた後の自分をコントロールするってことが必要だったりして理解できてくると面白いんですよ。最初は「飛んだはいいけどどこに着地する?」って感じでも、上手になってくるとパイロットのパラシュートみたいに自在に着地点を決められてそこまでの飛び方は少し遊べたりできるような、まだそこまでなれてはいないんだけど、なれつつあるかな?っていうところが楽しめるポイントかなって思います。
ちなみにフィンはテストがなくて、ラステス ― 本番の2回なんです。2回しかできない寂しさもすごくあって、「もう一回ここやらせてください」ってこともあるんです・・。寂しいですね、ハイ(笑)。
――たくさんの声優のお仕事の中でターニングポイントになったお仕事はなんでしょうか?
やっぱり『鋼の錬金術師(エドワード・エルリック役)』ですかね。
『∀ガンダム』という作品ではじめて男の子(ロラン・セアック役)をやることになってしまったがために人生が思いっきり変わって、それまで男の子役なんて舞台でも一切やってことがなかったのにそれ以来「朴璐美は男なのか女なのか?」みたいになって(笑)、紆余曲折ありながら『鋼の錬金術師』と出会って、エドワードに振り回されたことによって世間が認めてくださった、という作品だったので色んな事が様変わりしました。
その当時は考えてなかったし、きっと怖かったんでしょうね。何かが変わっていっているということを認めてしまったらおかしくなってしまいそうだったので気づかないふりをしていたんだと思うんですが、後々になってあそこが私の人生においてターニングポイント、というよりはひとつの“区切り”だったのかなっていう感じがします。『鋼~』の1期が終わって、一時期舞台から遠ざかって、声の仕事に邁進して、また舞台に戻って・・舞台と声優という二足の草鞋をちゃんと履いていこうって思ったのが『鋼~』からで、そこから今でも続いていますから。
――最後に作品をご覧になる方へメッセージをお願いします。
とにかくこの作品に振り回されてほしいと思います。たぶん違和感は感じると思うんですけど、それはとても気持ちのいい違和感なので、その違和感を存分に感じてほしいです。そしてあなた達も『アドベンチャー・タイム』のグッズを買いあさる日々を過ごせばいいと。そして買ったものはSNSであげて、どこで買ったか教えてくれればいい、と思います(爆笑)。
――ちなみにグッズのおすすめはフィンですか?
フィンのグッズ、マジでかわいいんですよ!次にかわいいのは悔しいけどレモングラブ、その次にかわいいのはこれまた悔しいですがミーモウ(笑)。リカルディオのグッズが出ていないので、これが出てしまうと私はゲットしてしまうかもしれないという恐怖はありますね(笑)。でも一番のおすすめはベビーフィンです、ということで!(笑)
TM & (c) 2018 Cartoon Network.
★アドベンチャー・タイム 放送情報★
放送局:カートゥーン ネットワーク
放送時間:[月]-[金]20:00-21:00、23:00-0:00、他
[土]-[日]21:00-22:00、他
公式Twitter:https://twitter.com/AdventureTimeJP
URL:http://www.cartoonnetwork.jp/cn_programs/microsite/00483
★2018年12月には最新シーズンのNEWエピソードと「アドベンチャー・タイム」の世界観を最初からたどり、伏線や重要エピソードをピックアップした特集の第4弾“集中講座Step4”を放送!
番組名:カートゥーン スペシャル アドベンチャー・タイム 集中講座Step4
放送日時:2018年12月9日[日] 19:00-0:00
URL:http://www.cartoonnetwork.jp/cn_programs/view/01224