『アグリー・ベティ』のお父さんが作る料理は、なぜあんなにおいしそうなのか

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華やかなMODE編集部とスアレス家の台所

ひとむかし前、NHKでも放送されていた海外ドラマ『アグリー・ベティ』のお話の舞台は、ニューヨークの一流ファッション誌「MODE」。

ちょうど『プラダを着た悪魔』も大ヒットしていた頃のドラマでした。

細くて美しくて隙のない人々の中へ、ラテン系でけっしてファッション界に即しているとは言えないベティが歯列矯正中&カラフルな服を着て飛び込んでいく物語です。
私がこのドラマを思い出すとき、MODEの豪華な衣装と同じくらい鮮明に浮かぶものがあります。
それは、クイーンズにあるスアレス家の食卓です。
赤い皿にたっぷり盛られた料理。湯気の立つ、少し雑多で、見るからに味の濃そうなラテン系の家庭料理。そして台所に立つのが、ベティのお父さん、イグナシオです。
正直に言います。
MODEのモデルたちが食べている、葉っぱ数枚のサラダより、私は断然こちらが食べたい(笑)。


イグナシオの料理には「おかえり」が入っている
イグナシオは、メキシコからアメリカへ渡り、クイーンズで家族を守ってきた父親です。心配性で、頑固で、ときどき娘たちに口を出しすぎる。でも、家族がどれだけ大きな問題を抱えて帰ってきても、まず食卓を用意して待っています。
彼の料理は、レストランで供される洗練されたメキシコ料理ではありません。
家族がちゃんと食べたか。元気がないなら何を作るか。今日一日、外の世界で傷ついてきた人を、どうやって家の中へ戻すか。
そのための料理です。
ベティはMODEで、見た目やブランド、社会的な地位によって評価されます。しかし家に帰れば、赤い皿にはいつも変わらない量の料理が盛られている。失敗しても、失恋しても、仕事を失いそうになっても、食事の席はなくなりません。
「何があっても、あなたはこの家の人間だ」
イグナシオは、それを言葉より先に料理で伝えているように見えます。

赤い皿と、たっぷり盛られた料理

スアレス家の食卓が魅力的なのは、料理がおしゃれに盛り付けられすぎていないことです。
大きめの皿に、主食も肉も豆も野菜も盛る。赤や黄色や茶色が重なり、ソースも少しはみ出している。家族が話している間にも、誰かが手を伸ばし、誰かがおかわりをする。
食卓が、生活の中心にあるのです。
食事とは本来、栄養素を計算して摂取するだけの行為ではありません。今日あったことを話し、腹を立て、笑い、仲直りするための時間でもあります。
スアレス家では、問題が解決してから食べるのではなく、問題を抱えたまま、とりあえずみんなで食べる。


これ、実はとても大切なことだと思います。

家で楽しむなら、名前のないワンプレートでいい

『アグリー・ベティ』を観る日に、難しいメキシコ料理を一から作る必要はありません。
ひき肉を玉ねぎと炒め、トマト、クミン、少量のチリパウダーで味付けする。ごはん、目玉焼き、豆、レタスと一緒に赤い皿へ盛り付け、あればトルティーヤを添える。
料理名が正確でなくても大丈夫です。
大切なのは、少し多めに作ること。そして、きれいに余白を残しすぎないこと(笑)。
辛いものが苦手なら、唐辛子を減らしてパプリカパウダーを使えば、色と香りを楽しめます。豆を加えると食べ応えが増し、肉を少し減らしても満足できます。

今日の結論

『アグリー・ベティ』のお父さんの料理がおいしそうに見えるのは、豪華な食材を使っているからではありません。
そこに、誰かの帰りを待っている時間が入っているからです。
ファッションの世界では、昨日まで価値があったものが、今日は古いと言われることがあります。でも家庭の味は、流行が変わっても簡単には消えません。
観ること、食べること。そして、帰る場所があること。
今夜は赤い皿に料理をたっぷり盛って、スアレス家の食卓へお邪魔してみませんか。

Sally.Asia 編集室

Sally.Asia 編集室

Sally.Asia Chief Editor Satoko Otsuka 大手映画配給会社の宣伝業務、海外ドラマNAVI編集長などのコンテンツビジネス業界の経験を経て、現在は薬膳料理家として活動中。アナザースカイは香港。 ・国際薬膳師/ヨガ講師/スマート農業指導士 ・食と身体の調律室オンラインスクール主宰 ・百姓ラボ合同会社共同代表 食とエンタ-テイメントを結ぶ企画など、お気軽にお声掛けくだされば幸いです。

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