思わぬところで大スターとの遭遇も! アジア映画ファン必見「第13回 アジア・フィルム・アワード」レポート

取材インタビュー

2019年3月17日(日)、香港TVB Cityにて開催された「第13回 アジア・フィルム・アワード(以下AFA)」。既に映画情報誌等のメディアで報じられている通り、今回開催されたAFAでは、『万引き家族』が最優秀作品賞・作曲賞(細野晴臣さん)をW受賞したほか、役所広司さんが『孤狼の血』にて最優秀主演男優賞に加え、アジア映画界・アジア文化における業績と貢献を称えるExcellence in Asian Cinema AwardをW受賞、さらには塚本晋也さんが『斬、』にて最優秀編集賞を受賞するという、日本映画勢が主要部門において多くの賞に輝く結果となりました。

 

アジア・フィルム・アワードとは、東京国際映画祭が、香港国際映画祭、釜山国際映画祭と共に共催する、アジア全域版のアカデミー賞とも言える規模のアワードで、香港映画スター、韓流スター、そして日本の映画界でその年に話題となった作品やクリエイター、俳優陣が勢揃いします。「アジア・フィルム・アワード(AFA)」と聞くと、何だか慣れないような感じがしますが、どうでしょう、東京国際映画祭、香港国際映画祭、釜山国際映画祭と、この3つが合わさった映画の祭典であると考えると、大変豪華なものであることが想像できますよね。

 

今回のセレモニーでは、AFA Next Generation Awardを受賞したキム・ジェジュン(東方神起の元メンバー)さんがパフォーマンスを披露しました。ちなみに、香港TVB City内に併設されたレッドカーペットゾーンで、人一倍報道陣の注目を集めていたのがジェジュン!今でもその人気の高さは健在のようです。

さらに、特別審査委員として主演女優賞のプレゼンターを務めたのは渡辺謙さん。日本のマスコミとしては、なんだかすごく得した気分!と思わずにはいられません。

授賞式会場と報道陣が待ち受けるプレスルームとの移動はコンパクトにまとまっていて、インタビューを終えた皆さんも報道陣の作業場近くを普通に横切っていくなど、結構フレンドリーな環境で、大きなホテルや会見場とは一味違った授賞式の雰囲気を味わうことができました。なお授賞式は、香港TVBにて生中継されました。

 

さて、そんな豪華な祭典AFAでは、日本映画界で活躍する方の活躍振りのほかにも、たくさんの楽しみや発見があります。

1.香港ベテランスターたちの何気ない貫録を目の当たりにする!

■アンソニー・ウォン:黒のパーカーにジーンズ、首にスカーフ(かな?)何気なく巻いてらっしゃって、オープニングゲストとして登場。この方、数多くの香港映画に出演されていますが、日本では特に『インファナル・アフェア』シリーズでご存じの方が多いのではないでしょうか。今回新人監督賞を受賞したオリヴァー・チャン監督の『みじめな人』に主演しています。
パーカーにジーンズ、そしてスカーフ。それで来ちゃう、それでもなんでこんなかっこいいんですかね…。

 

■カラ・ワイ:美しい!なんと来年60歳ですって…。信じられません。近年だと『捜査官X』や『キョンシー』などに出演。この度『トレイシー』で見事助演女優賞を受賞しました。きりっとした顔立ちがいつも本当にステキです。

 

2.今後世界へと羽ばたいていく大スターになる可能性を秘めた新人・若手の俳優さんたちの立ち振る舞いを観察する。

■ホアン・ジンギュ『オペレーション:レッド・シー』で新人俳優賞を受賞。中国出身。背も高いです! 黒髪短髪でキリッとした顔立ちのホアンさんの演技、ぜひ『オペレーション:レッド・シー』で観てみたいですね。これからの活躍が楽しみです。

 

■サマル・イェスリャーモワ『Ayka(原題)』で見事主演女優賞を受賞しました。カザフスタン出身の女優さんです。昨年のカンヌ国際映画祭でも本作で主演女優賞を獲得しています。とても素朴な印象の方でした。つくり笑顔とか、まるでしない…。そこに好感が持てる方はきっと多いんだと思いますね。今後どのようなキャリアを積まれるのか楽しみです。

第13回アジア・フィルム・アワード ノミネーションと受賞結果は以下の通りでした。アジアを代表する2018年の映画作品ですので、鑑賞作品選びの参考にどうぞご活用ください!(★が受賞)

【作品賞】
『バーニング 劇場版』
『ニセ薬じゃない!』
『轢き殺された羊』
『Sanju』
★『万引き家族』

【監督賞】
★イ・チャンドン『バーニング 劇場版』
ペマ・ツェテン『轢き殺された羊』
ラージクマール・ヒラニ『Sanju』
是枝裕和『万引き家族』
フルーツ・チャン『三人の夫』

【新人監督賞】
ヨー・シュウホァ『幻土』
リマ・ダス『Bulbul Can Sing(原題)』
プティポン・アルンペン『マンタレイ』
上田慎一郎『カメラを止めるな!』
★オリヴァー・チャン『みじめな人』
Bai Xue『The Crossing(英題)』

【主演男優賞】
ユ・アイン『バーニング 劇場版』
シュー・ジェン『ニセ薬じゃない!』
アーロン・クォック『プロジェクト・グーテンベルク』
ランビール・カプール『Sanju』
★役所広司『孤狼の血』

【主演女優賞】
チャオ・タオ『Ash is Purest White』
★サマル・イェスリャーモワ『Ayka(原題)』
ハン・ジミン『ミス・ペク』
安藤サクラ『万引き家族』
クロエ・マーヤン『三人の夫』

【助演男優賞】
★チャン・ユー『ニセ薬じゃない!』
クオン・ヘヒョ『川沿いのホテル』
塚本晋也『斬、』
ヴィッキー・コウシャル『Sanju』
リバー・ホアン『トレイシー』

【助演女優賞】
チン・ソヨン『Believer(英題)』
ディン・ニン『幸福城市』
シュイ・チン『邪不圧正(原題)』
松岡茉優『万引き家族』
★カラ・ワイ『トレイシー』

【新人俳優賞】
唐田えりか『寝ても覚めても』
チョン・ジョンソ『バーニング 劇場版』
シエ・チャンイン『幸福城市』
★ホアン・ジンギュ『オペレーション:レッド・シー』
Huang Yao『The Crossing(英題)』
チャン・チャームマン『三人の夫』

【脚本賞】
★ジャ・ジャンクー『Ash is Purest White』
イ・チャンドン『バーニング 劇場版』
ウェン・ムーイエ、ジョン・ワイ、ハン・ジャニョ『ニセ薬じゃない!』
フェリックス・チョン『プロジェクト・グーテンベルク』
ラージクマール・ヒラニ、アビジャート・ジョーシー『Sanju』

【編集賞】
★塚本晋也『斬、』
Choi Chi-Hung、Lam Chi-hang『オペレーション:レッド・シー』
カーラン・パン『プロジェクト・グーテンベルク』
チョウ・シャオリン『影(原題)』
キム・ジェボ、キム・サンボム『The Spy Gone North(英題)』

【撮影賞】
ホン・ギョンピョ『バーニング 劇場版』
リュ・ソンイェ『轢き殺された羊』
ナワロパート・ルンピブーンソーピット『マンタレイ』
★チャオ・シャオティン『影』
Pankaj Kumar『Tumbbad(英題)』

【作曲賞】
Dalparan『Believer』
リム・ギョン(リン・チャン)、ポイント・シュー『轢き殺された羊』
A.R.ラフマーン、アチュール・ラニンガ、サンジャイ・ワンドレカール『Sanju』
ラオザイ『影』
★細野晴臣『万引き家族』

【衣装デザイン賞】
ドン・ジョンミン、ユマ・ワン『邪不圧正』
マン・リムチョン『プロジェクト・グーテンベルク』
澤田石和寛『パンク侍、斬られて候』
★チェン・ミンジャン『影』
チェ・キョンファ『The Spy Gone North』

【美術賞】
シン・ジョムヒ『バーニング 劇場版』
リウ・チン『邪不圧正』
★ホレス・マー『影』
三ツ松けいこ『万引き家族』
Rakesh YADAV、Nitin Zihani CHOUDHARY『Tumbbad』

【視覚効果賞】
V.スリニヴァス・モハン『2.0』
ワン・シャオシュアイ、ヤン・ユエジュアン『邪不圧正』
LEE In-ho、KANG Tae-gyun『オペレーション:レッド・シー』
★アレックス・リム・ホンファン『プロジェクト・グーテンベルク』
尾上克郎『パンク侍、斬られて候』

【音響賞】
レスル・プークティ『2.0』
イ・スンチョル『バーニング 劇場版』
北田雅也『斬、』
Nopawat Likitwong、Sarunyu Nurnsai『オペレーション:レッド・シー』
★ヤン・ジアン、チャオ・ナン『影』

 

Photo:©Asian Film Awards Academy

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