「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」発売記念カウントダウンインタビュー<第9回>ハンナ・マリー&ジョン・ブラッドリー編

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海外ドラマ史上最高傑作と称された「ゲーム・オブ・スローンズ」。今年2019年12月4日(水)には「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」のブルーレイ&DVDが発売、同日には、特別仕様 豪華ボックス コンプリート・コレクションも発売されます。
この発売を記念して、キャストのスペシャルインタビューを毎日お届けする「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」カウントダウン・インタビュー企画。九日目となる今回は、ジリハンナ・マリーサムウェル・ターリージョン・ブラッドリーのインタビューをお届けします。

HM:ハンナ・マリー(ジリ)
JB:ジョン・ブラッドリー(サムウェル・ターリー)

 

—振り返ってみられて、あなたの「ゲーム・オブ・スローンズ」ベストエピソードとは?
HM:エピソードを1つだけ選ぶのは難しいけれど、シーンということでなら言えるわ。私達2人のシーンの中で一番のお気に入りは、赤ちゃんの名前を決める場面よ。赤ん坊をなんて名付けようか考えている時、最終的に「ベイビー・サム」に落ち着いた。様々な可能性を追求し、ファンタジー風の名前をあげたり、モーモントと呼ぼうかとも話した。それはとても愛しく、ほのぼのする瞬間で、この2人の関係性が確固たるものになったことを感じたわ。彼らが家族になったと初めて感じられたの。あのシーンの撮影は楽しかったわ。

JB:そうだね。

HM:それからまた第四章の第8話のオープニングも大好きなの。モウルズ・タウンへの攻撃を長回しで撮影した大掛かりなもので、アレックス・グレイブス監督がメガホンを取った。彼は「ザ・ホワイトハウス」を監督した人だけど、「「ザ・ホワイトハウス」でやったような長回しをやるぞ」と言われたの。「ゲーム・オブ・スローンズ」ではそういうのは絶対やってこなかったけど、そのシーンの撮影は技術的にも見事でクルー全員が最善を尽くして実現できた。ただただ素晴らしかった。3つのシーンを1回のテイクでやったの。シーンからシーンへとムードは変るものの、それでも通しで1テイクとなっているので、技術的にあそこまで見事なシーンの一員となれて、感動したわ。

観るのが一番好きなのは第一章の、ロバートとサーセイが自分たちの結婚生活について話している場面。それこそ私がこの作品に参加したいと思うきっかけとなったシーンだった。やはり最終的にはいつも第一章に戻るわね。それ以降のシーズンに素晴らしいシーンがないということではなく、個人的にはそれが際立っていると感じるからなの。

JB:僕にとってこの作品は、常にそれまでやってきたことの更に上を行く、毎シーズンそれまでとは異なるものとなっていた。第二章に遡る「ブラックウォーターの戦い」のようなエピソードでは、「これはすごい。スペクタクルということでは、これ以上どうやって上を目指すのだろう」と思ったけれど、 「堅牢な家」や「落とし子の戦い」など、それ以降のエピソードと比べると今ではまだ序の口だったと思える。スペクタクル巨編としてこの作品で良いと思うのは、自分のお気に入りのエピソードを何度も振り返って観ていくことになるということだ。製作陣たちは今までにやったことをすぐに改善していく手法を常に見出しているように感じられた。シーズンが終わるごとに「さて、これは終わった。ここで最高のものを出しきらなくて良かった。次のシーズンのことを考えなくてはならないからな」とでも考えていたのだろう。「これ以上のものをどうやって作ることができるのだろう」というのは大変な不安ではないかと思う。僕の視点から言うと、第四章の第9話「黒の城の死闘」に参加できただけで、嬉しかった。それまでに既に「ブラックウォーターの戦い」(第二章 第9話)や「キャスタミアの雨」(第三章 第9話)を観ていたので、シーズンの構造上第9話が重要なエピソードとなることは分かっていた。シーズンは第9話に向かって盛り上がっていく。というわけで、第四章 第9話のストーリーが黒の城と冥夜の守人(ナイツ・ウォッチ)に関する内容になると知った時、シーズンを通して中心となるピースを任されたんだということにとても興奮したんだ。

アクションの得意なニール・マーシャル監督と仕事をしたんだが、誰かに1時間ものアクション作品を任せるとなれば、それはニール・マーシャルが適任だろう。アレックス同様、彼もまた興味深く映画のような映像にする手法を見出していた。黒の城の中庭一帯に360°トラックを敷いて、夜通し撮影をした。監督のオリジナリティや創造性にインスパイアをされたわけだが、あの2つのショットは特に「特別なシーンになる」と確信したよ。それを台無しにしてはいけないから自分たちも頑張らねばとインスパイアされた。あのような環境は、強烈だけど、とてもクリエイティブで、魔法のように魅了されるものだ。

—あなた達2人のキャラクターはシリーズを通してお互いを支え、それまでとは違う方向へと進化していきます。ご一緒に演じられていかがでしたか?
HM:格別なもので、最高だったわ。あそこまで長い期間ずっと共演できるのは素晴らしいことだった。一緒に仕事をするようになって7年も経つのよね。

JB:そうだね。

HM:お互いに信頼し合うようになり、2人だけが分かるコミュニケーションの方法もできていった。仕事のやり方がそれぞれ異なるので、お互いのプロセスがかなり違うことについて2人でよく話していたのだけれど、お互いをうまく影響しあい、お互いから学んでいった。

JB:その通りだ。

HM:本当に光栄だったわ。

JB:全くその通りだね。100%そうだ。サムとジリの物語によって助けられた。2人の関係は、初めて出会った瞬間から最終的な姿まで、少しずつ発展していった。すべてがゆっくりと育まれていくことが許された。そしてその理由は、お互いに相手がいかに傷ついているかを理解しているからなんだ。現代的な考えでいうと、人を信頼することができないという問題をお互いが抱えている。彼らがいつも信頼を寄せた父親は、世界中で最も信頼してはならない人だったからだ。2人の関係がなぜゆっくり発展していくことができたかというと、サムはジリに対して、薄氷を踏む思いで接してきた。変なことを言ってしまい、それが引き金になってせっかく築いてきた関係を台無しにしてしまうかもしれないと分かっていたからなんだ。だから、アクション満載でエネルギッシュなシーンの後、サムとジリの癒やされる関係がほんの少しだけ前進したというのにはホッとするものだ。第六章~第七章にかけて、サムとジリの信頼関係が発展していく様子を描くというのは、演じていて嬉しいことだった。2人の物語はとても人間的だ。超人的な要素が常に見られるが、2人の物語はゆっくり燃える炎のようなものだ。時間が経つにつれ、2人の関係が進展していく様子を見ていくのは心が満たされるもので、その後第七章の終わりであのような形の関係となり、お互いが離れ離れになりたくないと思うようになる。サムは常にジリのことを考えている。そして彼が生き延びたいと思うのは、ジリを守るためだ。そういう関係を何シーズンにも渡ってゆっくりと演じていく機会を与えてもらえ、最高に演じ甲斐があったよ。

—シリーズを通して死はたくさんありましたが、中でも最も悲惨な、もしくは悲しい死はどれでしたか?
HM:私にとってはキャトリン・スタークね。第三章の撮影が始まる前に、原作を読んでいたの。それからまた、なぜかロブが死ぬこともわかっていた。それはきっとリチャードが話していたからかもしれない。リチャードは「ロブ・スタークは死ぬことになるのは知っている」と言っていたと思うわ。でもキャトリンは私のお気に入りのキャラクターだった。そしてミシェル・フェアリーの演技も大好きだったし、娘たちもいつかきっと母の元に戻ることができるものだと思っていたのね。

JB:分かるよ。

HM:ところが「キャスタミアの雨」のエピソードを原作で読んだ時、大切なものを奪われたような気持ちになった。あの死には大いにショックを受けたものよ。

JB:そうだね。未だにそうだよ。第一章が始まる前には原作を読んでいなかったのだけれど、僕にとってはそれがネッド・スタークなんだ。「ゲーム・オブ・スローンズ」での最善の死に様とい言った場合、「キャスタミアの雨」でのキャトリンとロブがそれに当てはまるのだけれど、それが起きた瞬間、理屈抜きのショックがまずあって、それによる影響について考えるにつれ、その後じわじわと震撼するというものだ。ネッドが死んで、「なんてことだ!ネッドが死んでしまった。それはないだろう」と思う。「だってショーン・ビーンが主役なんだ。彼が第一章が終わる前に死ぬわけにはいかないだろう。そんなばかなことがあるか」と思うのだけれど、実際そうなんだ。

HM:最終話でもないのよね。

JB:最終話でもない。

HM:最後から2番目のエピソードだった。

JB:第一章が終わる前にだ。殺されてしまったんだよ。「彼が死んでしまった。ネッドがジョンに言った最後の言葉は『お前に次に会った時に母親について話してやろう』だったのに、これではジョンがそれについて知ることなどできないではないか」と思った。それは鍵を握る重要な情報だった。その重要な情報は知る由もなくなってしまった。というわけで、僕にとってはネッドだね。そして僕たちは作品を観るだけでなく、一緒に仕事をするので、いつも悲しみは2度訪れるんだ。

HM:そうね。

JB:キャラクターが死んでしまい、シーズンを通して知り合った俳優も去る。だから、2つの素晴らしいものに対してお別れを言わなければならないんだ。

—一方、最も清々したと感じる死はどれでしたか?
HM:ラムジーね。彼はあまりに長く生き延びすぎたから。

JB:まさにその通りだね。

HM:だんだん人に天罰が下り初めたのに、「あの人はどうなの?彼は最悪じゃない?」と思った。それをサンサが画策していったというのも満足がいくものだった。その時私は脚本を読んでいなかったので、それについては知らなかったのだけど、あえて知ろうとしなかった。ファンとして観たかったのよ。ところがデヴィッド(・ベニオフ)とダン(D・B・ワイス)がセットで、「これからもう1つのユニットに移動し、サンサがラムジーを殺すところを見てくる」と言ったので「なんですって?」となった。みんながそれを喜んでいたわ。あれは良かったわね。

—あなたはいかがですか?
JB:これについて僕はよく話してきたのだけれど、ジョフリーの死で良かったのは、第四章の段階では、第9話まで展開していくという構造が既にあって、大きな出来事はみな第9話で起こっていたんだ。重要な人物が死ぬのは決まって第9話だった。ところが第四章では、早い段階で死んだ。確か第2話か第3話だったと思う。シーズンの構造や形式が分かっていると思わせておいて、予期しない展開となったのが、当時衝撃を受けた理由だった。脚本にあったからそうなることは分かってはいたが、人々に「彼はシーズンのそんな早い段階で死ぬはずがない」と思わせておいて、人々の度肝を抜いていきなり死んでしまうという展開だと知った時、その頃から視聴者を驚かせ、先読みするようになったのだと思った。彼らを欺くようになったのだと思うよ。シーズンの形式が分かったと思わせて、早い段階で全く予想外のことが起きたので、そんな風に視聴者を欺いたというのはとても効果的だった。

—愛されるキャラクターが次々にあのような運命に遭う中、あなたのキャラクターが最終章まで生き延びたのは驚きでしたか?
HM:実は、私達2人は大丈夫なんじゃないかという密かな期待はずっとあったの(笑)。

JB:そうそう。サムは本作や原作の中でジョージ・R・R・マーティンを象徴しているという説が出てきてから、僕たち2人は安全なのではと思い始めたよ(笑)。ジョージは良心的兵役拒否者、反戦主義者で、物事を解決する手段として暴力を行使することに反対しているから、サムがジョージを象徴しているんだ。サムは、物事は教育によって解決することができ、読書は武器と同じくらいパワフルなんだということを示している。これはジョージによる世界の見方なのだと思う。自分のキャラクターがこの世界観のクリエイターである著者、を象徴していると知ったら、「これは僕にとってうまくいくことになる」と思わざるを得ない。

—原作を読まれているということですが、最後の2シーズンは原作がないので、大きく変化したと思われますか?
HM:私は読むのを止めたの。以前は撮影しながら読んでいたのだけれど…。第1巻と第2巻は第二章が始まる前に読み、第3巻を第三章の前に読んだのだけれど、第四章の前に、デヴィッドとダンと夕食を共にし、「これから先、ジリは原作から離れることになる」と言われ、その時点で原作を読む利点が必ずしも感じられなかった。2つの物語によって混乱してしまうのではないかと懸念したの。それから彼女はもともと原作とはかなり違うこともあった。この段階で読むことが、私のプロセスにどれだけ役に立つかは分からないと感じていたので、読むのをやめたの。いつか原作に戻って、好奇心から読んでみるかもしれないけれど、原作が途絶える以前にすでに読むのを止めていたのよ。原作とは離れたところで作品が発展していき、今では原作なしに完結したというのは興味深いと思うわ。

JB:そう、それが責任だよね。原作が出版されたのは90年代半ばで、第1巻は確か1996年だったと思う。つまり人々はジョン・スノウやデナーリスに23年前に出会ったというわけだ。人々が常に抱いていた疑問に、今答えなければならないという責任がある。完結の仕方、満足の行く終わり方を見出さなければならなかったんだ。それが僕らの責任だった。最終的に原作の物語が終わるとき、もしかしたらTVシリーズとは違う終わり方になるかもしれない。ジョージがどう考えているのかは僕たちには知る由もない。ただ今は、物語、そして長い間ずっと人々に愛され続けた本作のキャラクターを完結させるという責任があるんだ。最終章で満足させなければならない人が大勢いるということだよ。

—そのプレッシャーについてはいかがですか?
JB:プレッシャーというのは、主要な決断を下す製作総指揮のデヴィッドとダンが主に感じるものだが、僕たちはファンがいかに情熱的かということをずっと知っている。このTVシリーズがどのように終わるのかに関する説が、オンライン上にいかにたくさんあるかということを取ってみても、それは明らかだ。この番組のことを年に10週間だけ考えているわけではない。1年を通してずっと考えているんだ。ずっと素晴らしいシリーズだったのに、エンディングにがっかりさせられた作品というのは、名指しで言わないけれど、これまでたくさんあり、そうなるとそれまで観てきたすべてが再評価されることになってしまう。シリーズ全体のレガシーをも台無しにしてしまうことになりかねない。最終章 最終話の脚本を読んだ時、僕たちはそうならないのだと感じ、ほっと胸をなでおろしたんだ。チャレンジングで必ずしも多くの人々が求めるものではないかもしれないが、観てもらい、その後、再評価してもらったら、これが僕たちに可能な最高のエンディングであると思ってもらえるのではないかな。

「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」
12月4日(水)ブルーレイ&DVD 発売! 

■【初回限定生産】ゲーム・オブ・スローンズ 最終章 ブルーレイ コンプリート・ボックス ¥11,818 +税
■【初回限定生産】ゲーム・オブ・スローンズ 最終章 DVD コンプリート・ボックス ¥10,000 +税
■レンタル ブルーレイ&DVD Vol.1~5 ※Vol.1 のみ2話収録

「ゲーム・オブ・スローンズ」コンプリート・コレクション&コンプリート・シリーズ 12 月4日(水) ブルーレイ&DVD 発売


■【300 セット限定生産】特別仕様 豪華ボックス ゲーム・オブ・スローンズ<第一章~最終章> ブルーレイ コンプリート・コレクション ¥72,727+税


■【初回限定生産】ゲーム・オブ・スローンズ<第一章~最終章> ブルーレイ コンプリート・シリーズ ¥42,727+税
■【初回限定生産】ゲーム・オブ・スローンズ<第一章~最終章> DVD コンプリート・シリーズ ¥34,545+税

<ゲーム・オブ・スローンズ 公式サイト>
http://www.gameofthrones.jp 
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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※R-15:本作には、一部に15 歳未満の鑑賞には不適切な表現が含まれています。

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