今年、全米ではシーズン14に突入する人気シリーズ『クリミナル・マインド』。長い年月を経て、ついに最後のオリジナル・キャストとなったリード役のマシュー・グレイ・ギュブラーが4度目の来日を果たした。常に周囲を楽しませようとするエンターテイナー気質は変わらず、ジョークとユーモアをふんだんに織り交ぜながら、ドラマの魅力を語ってくれた。
──『クリミナル・マインド』も今年で14年目になり、あなたのキャリアの大半を占めているわけですが、いろんな経験を積んできた今、もし当時の自分にアドバイスを送るとしたらどんな事を伝えますか?
決して自分はどんなセリフでも覚えられると脚本家たちに証明しようとするな、って事かな。これってやりすぎると他の人のセリフまで全部自分に廻ってきちゃうんだよね(笑) ってまぁこれはちょっと冗談でもあるんだけど。真面目に言えば、そうだな。とにかく楽しめって言うと思う。
──でもそれって今もあまり変わりがないような気が…(笑) 割と最初の頃からそんなスタンスだったように思います。
その通り!(笑) でも現場ではかなり深刻なシーンもあるから、時には落ち込むというか、メゲるような気分になってしまう事もあるんだよね。だからそういう時もあるけど、頑張れって言いたいんだ。
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──今のあなたから見て、シーズン1の頃のスペンサー・リードはどんな印象ですか?
テレビのキャラクターってずっと変わらない人も多いんだけど、リードは今見るとすごく変わってるんだよね。シーズン毎にアームのように「始め、中盤、終わり」という流れができるように意識していたから、今改めて全シーズンを見ると、すごく進化している事が分かるんだ。
──確かにこれまでのリードはかなり起伏の激しい人生を送ってきていますよね。そんな中で今振り返ってみても未だに印象に残っているエピソードなどはどんなものがありますか?
リードが一番変わったのは、シーズン12の刑務所での体験と、シーズン1で、人生で初めて人を撃った時なんじゃないかな。特に人を撃った経験は、身を護る術を学ぶと同時に、彼にかなり大きな影響を与えたと思うし、やっぱり強く印象に残ってるよ。
──以前、リードの事を囚われの姫君と言っていましたが、そこから印象は変わりましたか?
そうだね。特に刑務所に入るという経験が、彼をだいぶ変化させたと思う。自分の中の野生的な部分を彼は抑え込まなくてはならなくなるし、囚われの姫君の頃からはかなり変化していると思うよ。
──今、シーズン1の1話を見返してみると、モーガンがスーツを着ていたり、ガルシアが地味だったり、リードがいかにもお堅いスクール・ボーイ風だったりと、試行錯誤している事が良く分かって新鮮だったんですが、何か意識的に変えていこうとしていたものはあったんですか? 髪型などはよく変わってますが。
僕らは確かに変わったけど、まずテレビ自体にも大きな変化があったんだよね。番組がスタートした頃は、ドラマも割と枠がしっかりと決まっていて、あまりはみ出す余地がなかったんだ。僕としてはそんな中でも常に何か変化が欲しくて、俳優が一番簡単にコントロールできるのが髪型だったから、ちょこちょこと変えていたりしたんだ。時々家で髪を切って、それが事後報告だったものだから、こっぴどく怒られたりした事もあったけど(笑)
夏はドラマの撮影が休みだから、その間に映画に出演したりしていたんだけど、その時に髪を切ったりもしたしね。一度、2分しか出演シーンがないのに髪を長く伸ばした事があって、せっかくだから次の『クリミナル・マインド』の撮影までそのままにしておこうと思って、結果長めの髪のリードになった事もあるよ。
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──日本では最新シーズンとなるシーズン13には降板したシェマー(・ムーア)がゲストで出演していますが、次のシーズンでゲストに出て欲しい人はいますか?
たくさんいるよ! まずギデオン役のマンディ(・パティンキン)だね!
──ちょうどシェマーも先ごろ来日していたのですが、番組を離れてもキャストたちが仲が良いのが伝わってきますね。
シェマーは未だに僕からお金を借りてるからね(笑)これ、ホントだよ!(笑)それだけ仲が良いんだよ!
──ちなみにこれまでのBAUのメンバーで、友達にしたい人、恋人にしたい人、絶対関わりたくない人を選ぶとしたら?
これは簡単だよ。ブラウン・シュガー、ブラウン・シュガー、ブラウン・シュガーだね(※全部シェマー・ムーアの事)なんて!(笑)
そうだな。友達はジョー(・マンテーニャ)、恋人は…ジェニファー・ラブ・ヒューイット(シーズン10から出演)、絶対関わりたくないのはクルーに1人いるけど…って嘘だよ!(笑) ホントは僕自身だね。リードとして考えるなら、親友はブラウン・シュガーだし、恋人はJJ、関わりたくないのはやっぱり彼自身かな。
──どちらにせよ、関わりたくないのは自分なんですね(笑)
グルーチョ・マルクスが残した言葉に「僕を会員にするような会には絶対に入りたくない」ってのがあるんだけど、それと同じ心境だね(笑)
── 話をシーズン13に戻すと、このシーズンでのリードはどんな変化を見せるんですか?
刑務所から解放されてリードはチームに戻るんだけど、今度は果たしてチームに残るべきか、それとも離れるべきか、葛藤する事になるんだ。世の中を救うために自分は何をするべきか、一層考えるようになって、例えばプロファイラーではなくて、教師になるべきなんじゃないかとか、内面的な問題に直面するんだ。これまでは内面的な事よりも、外部、つまり外の世界と戦ってきたんだけど、シーズン13では内なる戦いにフォーカスが当てられる事になるんだ。
──恒例の監督エピソードは今回はどんな感じになるのでしょう?
今回はピエロが悪役になる話なんだ。実はこれ、4年間構想を練っていたんだけど、なかなか上手くまとめられなくて、今回ようやく納得のいく脚本が出来上がったんだ。これまで何本か監督をしてきたけど、その中でもこれは特に僕が誇りに思えるエピソードだよ。自分が作り出したものなのに、自分が一番怖くなって、今でも週に1回はそのピエロが自分のベッドの下にいるような気がして怖くなるんだ。自分が作ったものなのに何やってるんだって、その状況にちょっと笑ってしまうんだけど(笑)でもこんなふうに感じるなんて、初めての事だよ。
──今後監督をするなら、どんなものをやりたいか何か構想はあるんですか?
あるよ! 僕は前々から雪男、つまりイエティを扱いたいと思っているんだ。それか水の中に潜む生物とか。でもまぁ、これじゃぁ『クリミナル・マインド』というより『X-ファイル』になっちゃうんだけど(笑)
──新しく加入する人もいれば、去る者もいるという事で、『クリミナル・マインド』もオリジナル・キャストが減ってしまいましたが、唯一のオリジナル・キャストとして、番組を背負って立つというような思いはありますか?
少なくなったと思ったけど、そうか、オリジナル・キャストはもう僕しかいないんだ! ガルシアもパイロットから出てるけど、彼女は最初、レギュラーじゃなかったんだよね。なんだか驚きだよ。でもすごく責任は感じているし、同時にすごく光栄な事だと思ってる。長い間、こういうストーリーを視聴者の方に提供しているわけだけど、それを娯楽として楽しんでもらえれば、こんなに嬉しい事はないよ。
──ラスベガスで起こった銃の乱射事件の際には即座にチャリティ・イベントを実施してましたよね。出身がラスベガスという事もあるでしょうが、同時に『クリミナル・マインド』という作品の性質から生まれる責任感というものもあったのでしょうか?
あの事件はとても悲劇的なものだったし、僕の故郷で起こった事だったから、とにかく出来るだけの事をしたいという思いがあったんだ。番組ではシリアスな犯罪をたくさん扱っているわけだけど、ドラマの中でもそうした犯罪が生む闇よりも愛や希望を伝えたいと僕は思っているし、実際の生活においてもどんなに小さな事でも何か楽観できるような方向に結びつけたいと思っているんだ。
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「クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪」シーズン1
Dlifeで8月20日(月)スタート、毎週月曜~水曜 夜10:00-11:00
「クリミナル・マインド13 FBI行動分析課」
WOWOWプライムで9月4日(火)放送スタート