本当に起こるかもしれない!? 現代の科学者たちが最先端の知見で紐解く!「人類滅亡の日~世界が終わる10のシナリオ~」

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いよいよ2月20日(月)より、ヒストリーチャンネルにて放送となる「人類滅亡の日~世界が終わる10のシナリオ~」(原題:Doomsday: 10 Ways the World Will End)。この番組は、ヒストリーチャンネルならではの視点で、現代の科学者たちが最先端の知見を語るという、日本初放送の番組だ。空から降るガラスの雨、大気圏に空いた巨大な穴、歪む重力、ダウンする世界中の通信機能、忍び寄る病原菌――。このような地球規模の大災難が人類を襲うかもしれないと研究者が指摘する。さらに、軌道を外れた惑星の衝突や、ガンマ線バースト、メタンガスによる海底の噴火、核戦争もそのリストに加わる。CG技術によって、数々の天災が降りかかる様子を映像化しながら、科学的な考察を加えてゆく。果たして人類は、種としての終末を防ぐことが可能なのかを調査する!

本番組の「#1 巨大小惑星の落下」に実際に出演されている、東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻 杉田精司教授にお話を伺った。

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【杉田教授インタビュー】

――「人類滅亡の日~世界が終わる10のシナリオ~」の見どころ・魅力について教えてください。

「現代で起きたらどうなるのか」という視点で忠実に描かれていて、専門知識が無い人がみても、実感を得るのに非常に良いつくりになっていると思います。 約6600万年前に、隕石の衝突により恐竜が絶滅したという内容のものは、これまでもいくつも番組がつくられていると思いますが、「今我々の現代社会で起きたらどうなるだろう」という視点でドラマ仕立てになっているのが、みやすいですし、新しいところだと思います。
また、通常、科学の議論は英語で行われることが多く、この番組も英語ベースの作りで、世界の学会で発言するような研究者の人たちが出演して意見を語っています。こういった研究者の皆さんをピンポイントで集め、意見を聞くというところから始まって、「現代の最新の知見ではこうですよ!」ということが語られるのが、ヒストリーチャンネルならではであり、この番組のいいところですね。
教科書的な事実を並べて単にわかりやすく面白くした、というのではなく、今現状の最先端の人たちに、「どういう理解が正しいのですか?」と聞いてつくられていますから、一番新しい知見を効率的に取り入れられて、なるほど、と思わせる面白い番組になっていると思います。

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――現在の最新の仮説として「隕石の衝突による人類滅亡」は、今後本当に起こりえるのでしょうか?

我々が生きているこの何十年かの間では、“種が絶滅する”というまでの大規模のものは、心配し過ぎなくて良いかなと思います。ただ、それと同時に、“起こらないだろうと思っていたことが起こる可能性はある”、ということです。私がそれを実感した、二つの出来事がありました。

東日本大震災という1000年に一度しかないような規模の、大きな地震を経験しました。私は二十数年前、まだ学生の頃、貞観地震という平安時代に起きた大規模な地震のことについて、「そんなものが我々が生きている間に起きるかなんてわからないし、そもそも1000年以上前のことで、果たして、いうほど大規模だったのかも判明してないじゃないか…」と思っていたんです。しかし、東日本大震災が実際に起きました。じゃあだからといって、毎日毎日地震の心配をして、日本全国の全ての海岸線にくまなく巨大堤防を築くのか――?そうすれは美しい日本の国土の景観も潰れてしまうし、いくらお金があっても足りないわけですよね。だから、「天変地異的なものも完全にゼロではない。それを完全に防げる力を我々はまだ持っていない。そのことを分かった上で、自分たちでできることをやっておく」という気持ちを持つのが大事だと思っています。

そしてもう一つ、チェリャビンスク隕石です。「空から星がふってくるなんてないだろう」と思っていたら、2013年にロシアのチェリャビンスク州に隕石が落ちたんです。人は一人も亡くならなかったのですが、(衝撃波による建物の破損などで)怪我した人は1000人を超えています。あれは本当に、ギリギリいっぱいの大きさで、直径は17m~20m弱と推定されていますが、もしそれよりひとまわり大きい、50mくらいの直径のものだったら大参事になってしまいます。ロシアでは100年以上前、ツングースカの森林に50m近い大きさのも隕石が落ちています。たまたま着弾点とその付近が人のいない場所だったので、死亡者は出なかったようですが、こんなうそみたいなことが実際に起きるのだということを思い知らされましたし、この後も似たようなことは起きる可能性があります。

――先日、海外のニュースメディアで、数週間前に2017AG13という隕石が地球のそばを通過したが、NASAは24時間前まで気づかなかった、ということが書かれていました。発見できないものなのでしょうか?

はい。直径10km以上の大きさの小惑星ものについては、調べがついていると思っていて大丈夫です。ただ、1km以下になって、もう20mくらいなると、なかなか見つけられないんです!
先にも話した通り、チェリャビンスク隕石は、直径20m弱程度だったわけですから、もしも100m、50m規模のものがぶつかると、大災害になってしまう可能性があるわけです。

よって、世界が終わってしまうほどの巨大なものについては調べがついているのですが、街や都市が大被害を受ける程度のものまでは、現段階では調べがついていない、ということになります。…どこまでやるか、なんですよね。

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――これまでの惑星研究のなかで、興味深かったもの、面白かったもの、説明が付かないようなものや、今の地球での知見では全くわからない…というような事例はありましたか?

そうですね…。実は…、どのケースの何をみても、そういう気がすることはあります(笑)。個人的なコメントになってしまうのですが…。NASAが行った2005年の「ディープ・インパクト計画」の話を少ししましょう。我々日本の観測チームは、すばる望遠鏡から観測していました。すばる望遠鏡は、ディープ・インパクトの探査機には搭載されていない装置の波長で、地上からの連携支援観測という形で参加したんです。世界で唯一NASAから予算を貰わなってい形で本格観測をしていたチームでした。ですから、ある意味、世界で最も中立な立場で観測したわけで、どう発言しようが自由だぞ!と(笑)。世界中から「NASAの隠している嘘を暴いてくれるんじゃないか!」など、期待されましたね(笑)。別の探査のときに、科学者たちから「本当は何を見つけたんだ?」と聞かれたり、我々の存在、日本の立ち位置っていうのは大事だなと思いました。
実際にデータが出てくると、一部分は予想通りだったところもあり、でも「これは思いつかなかったな」、ということが沢山ありました。時間をかけて調べれば、おそらく科学的に説明できることもあるんでしょうけど、解明しようと思ったら3年はかかるな…とか、そういうものがあるんです。でも速報ニュースで、「3年間、発表待ってください」とは言えないわけですから(笑)、そこでは、わかったことを淡々と発表します。

――わかったことは発表され、わからないこともまだまだ沢山ある、ということなんですね!

はい。自然はそんなに簡単に予測がつくのかと思ったら、違うなっていうことですよね。
人間の知の弱さ、わかっていなさを、すごく実感させられるというのが感想です。時間が経って思い返してみても、非常に不思議で、予測できないことはいくらでもあるんです。だからこそ、科学は面白いし、宇宙探査は凄く魅力があると思っています。「本当にわからないものだな」、ということこそが、科学の神髄だなと思うのです。だから科学者はやめられないというか。おもしろくてしょうがないですよね。

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――宇宙にはまだ解明されていないものが、本当に沢山あるのですね…。

はい。例えば、先程の件でも、説明を入れずに、データとして写真を論文に出すんですよ。そうすると後々気付くわけです。「こうじゃないか、ああじゃないか」と。後々議論ができるので、記載する重要性もありますね。

今私は、「はやぶさ2」のプロジェクトで、探査機の可視分光カメラの科学観測の責任者をやっています。今回の“巨大隕石による人類滅亡”の話でも関わりがあるのですが、100mをきるような、防げないタイプの数十メートルの隕石は、どうも一枚板じゃないということがわかっているんです。ガレキの固まりみたいになって、自己重力でゆるく固まっているだけなので、剥離していくんですね。はやぶさの初号機の時に観測でわかっていて、それの続きをしっかりやりたいと思っています。

――杉田精司教授、どうもありがとうございました!

「人類滅亡の日~世界が終わる10のシナリオ~」は、
2月20日(月)より、ヒストリーチャンネルにて放送スタート!

#1 巨大小惑星の落下 2017/02/20(月)23:00
#2 急接近!ブラックホールの脅威 2017/02/20(月)深夜 00:00
#3 浮遊惑星の衝突 2017/02/21(火)23:00
#4 核戦争の悪夢 2017/02/21(火)深夜 00:00
#5 太陽嵐による電力システム崩壊 2017/02/22(水)23:00
#6 地球規模の大噴火 2017/02/22(水)深夜 00:00
#7 ガンマ線バースト 2017/02/23(木)23:00
#8 急接近する太陽の脅威 2017/02/23(木)深夜 00:00
#9 エイリアンの侵略 2017/02/24(金)23:00
#10 海流停止による大災害 2017/02/24(金)深夜 00:00

公式HP http://www.historychannel.co.jp/

Photo:東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻 杉田精司教授
「人類滅亡の日~世界が終わる10のシナリオ~」
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